歯の黄ばみの原因は3種類|着色・加齢・内部の変色で対策が変わる

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毎日しっかり磨いているのに、歯の黄ばみが一向に取れない。
そんなときは、磨き方を疑う前に「黄ばみの種類」を確かめてみてください。

歯科衛生士の佐伯なおです。
歯の黄ばみは、表面の着色・加齢・歯の内部の変色の3種類に分かれ、効く対策がそれぞれ違います。
磨いても落ちないタイプの黄ばみを歯磨きで落とそうとすると、かえって歯をすり減らしてしまいます。

この記事では、鏡でできる見分け方とタイプ別の対策をお伝えします。

歯の黄ばみは「色がどこにあるか」で3種類に分かれる

歯の色は、半透明のエナメル質と黄色い象牙質の重なり

歯のいちばん外側は、エナメル質という半透明の硬い層です。
その内側に、もともと黄色みのある象牙質があります。
私たちが見ている「歯の色」は、エナメル質越しに透けた象牙質の色に、表面についた汚れの色が重なったものです。

日本歯磨工業会の「歯みがきQ&A」でも、歯の色は生まれつきの色と、表面に沈着したものの色で決まると説明されています。
つまり、黄ばみの原因は「表面に何かがついている」か「歯そのものの色が変わっている」かのどちらかです。

3種類の違いを表で整理

原因ごとに、色がある場所と対策の方向がまったく違います。

種類色がある場所見た目の特徴主な原因対策の方向
表面の着色歯の表面茶色っぽい、歯と歯の間や境目に濃く出るコーヒー・お茶・赤ワイン・タバコ落とす(歯磨き・クリーニング)
加齢による黄ばみ象牙質(歯全体)全体が均一に黄色い、ツヤはある象牙質の色の変化、エナメル質の摩耗漂白する(ホワイトニング)
内部の変色歯の内側1本だけ暗い、グレーや縞模様神経の壊死、子どもの頃の薬、金属歯科医院で原因別に処置

正直に言うと、患者さんの多くは3つが混ざった状態です。
それでも「どれがいちばん強いか」を知っておくと、お金と時間をかける場所を間違えずに済みます。

原因1 表面の着色(ステイン)は飲み物とタバコが主犯

歯を守る膜に色素がくっつく

歯の表面は、唾液からできるペリクルという薄い膜で覆われています。
ペリクルは歯を守る役目がある一方、飲食物の色素を吸着しやすい性質も持っています。

ライオンの「歯の着色とは~その種類と原因~」によると、コーヒー、お茶、紅茶、赤ワイン、ブルーベリーなどに含まれるポリフェノールなどの着色成分や、タバコのタール(ヤニ)が歯について汚れとして残ります。
色素は1回で固まるわけではなく、何日もかけて少しずつ積み重なって茶色い着色になります。

着色が濃く出る場所は決まっている

現場で見ていると、着色が目立つ場所にはパターンがあります。

  • 下の前歯の裏側
  • 歯と歯の間の三角形の部分
  • 歯と歯ぐきの境目
  • 歯並びが重なって歯ブラシが届きにくいところ

どれも歯ブラシの毛先が当たりにくい場所です。
毎日3回磨いている方でも、同じ場所に毛先が当たっていなければ、そこだけ着色が育っていきます。
私がいつも「回数より当て方」とお伝えしているのは、このためです。

落とせるのは表面の汚れまで

表面の着色は、3種類のなかでいちばん自分で対処しやすい黄ばみです。
日本歯磨工業会によると、着色汚れは歯ブラシだけでは十分に落としにくく、清掃剤を配合した歯磨き粉を使うと効果的に落とせます。
市販の「ステイン除去」をうたう歯磨き粉は、この範囲を担当していると考えてください。

一方で、何年もかけて固まった着色や、歯石の上についた着色は歯磨き粉では落ちません。
日本歯科医師会の「ホワイトニング」のページでも、茶渋やタバコのタールが表面についた場合は、多くの場合プロによる歯面研磨だけで歯本来の色に戻ると書かれています。
着色タイプの方は、ホワイトニングを検討する前に、まず歯科医院のクリーニングを1回受けてみるのが近道です。

原因2 加齢による黄ばみは磨いても落ちない

エナメル質が薄くなり、象牙質の色が濃くなる

年齢を重ねると、歯の内側では象牙質が少しずつ厚くなり、色も淡い褐色から褐色へと濃くなっていきます。
同時に、外側のエナメル質は毎日の食事や歯磨きで少しずつすり減ります。
内側の色は濃くなり、外側の層は薄くなるので、黄色が表に出やすくなるわけです。

この黄ばみは表面の汚れではないので、どれだけ丁寧に磨いても落ちません。
「歯医者でクリーニングしたのに、思ったほど白くならなかった」という方は、加齢による黄ばみの割合が大きいのかもしれません。

強くこすると、かえって黄色く見えることも

加齢による黄ばみを汚れだと思い込み、硬い歯ブラシでゴシゴシ磨き続けている患者さんをよく見かけます。
正直に言うと、これは逆効果です。
日本歯磨工業会も、歯のすり減りには歯磨き粉よりもブラッシングの力や歯ブラシの硬さのほうが大きく関わると説明しています。

エナメル質が削れれば、その下の象牙質がさらに透けて見えます。
歯ぐきが下がって、黄色い歯の根元が出てくることもあります。
白くしたくて強く磨いたのに、かえって黄色く見えるようになってしまう。
現場では、この流れを何度も見てきました。

対策の本命はホワイトニング(漂白)

日本歯科医師会のページでは、歳を重ねるとともに生じる黄ばみは漂白の最適応症とされています。
表面を削るのではなく、歯の内側の色素を薬剤で分解して白くする方法なので、加齢タイプとは相性がいいのです。

ただし、漂白効果のある薬剤は歯科医院でしか扱えません。
日本歯科審美学会の「歯のホワイトニングについて」でも、漂白効果のあるホワイトニング剤は医療用具(歯科材料)とされ、歯科医師や歯科衛生士の資格がない人が使って施術するのは違法だと書かれています。
市販の歯磨き粉やサロンのセルフホワイトニングでできるのは、表面の着色を落とすところまでと考えておきましょう。

原因3 歯の内部の変色は1本だけ・縞模様がサイン

神経が死んだ歯は、内側から暗くなる

ぶつけた歯や、深い虫歯で神経を取った歯は、時間がたつと内側から暗く変色することがあります。
ライオンの解説でも、外傷などで神経(歯髄)が壊死したり出血したりすると、歯の内部が着色して外から見えると書かれています。

この変色は、ほかの歯と比べて1本だけグレーや茶色っぽく見えるのが特徴です。
痛みがないまま進むことも多く、写真を見て初めて気づいたという方もいます。
神経を取った歯には、歯の内側に薬剤を入れて漂白する方法があるので、歯科医師に相談してみてください。

子どもの頃の薬や、歯がつくられる時期の影響

子どもの頃に飲んだ薬が原因で、大人になってから歯の色に悩む方もいます。
代表的なのが、テトラサイクリン系の抗菌薬です。
歯がつくられている時期に服用すると、歯の内部に色が取り込まれ、グレーや茶色の縞模様のような変色が残ることがあります。

日本歯科医師会のページでも、乳幼児期に服用したテトラサイクリンによる濃い変色は、神経のある歯の漂白では難しい症例とされています。
変色の程度によっては、ホワイトニングだけでなく、歯の表面に薄いセラミックを貼る方法なども含めて考えることになります。

詰め物・被せ物・金属による変色は漂白できない

意外と見落とされがちなのが、治療した歯の色です。
ホワイトニングで白くなるのは天然の歯だけで、詰め物や被せ物の色は変わりません。
日本歯科医師会によると、金属の詰め物や被せ物は漂白で白くできず、金属イオンで歯そのものが変色した場合も漂白は不可能とされています。

前歯に古い詰め物がある方は、ホワイトニングで周りの歯だけ白くなり、詰め物の部分が目立つこともあります。
こうした場合は、歯と同じ色の材料に置き換える治療を組み合わせるのが一般的です。

自分の黄ばみはどれ?セルフチェックと対策の選び方

鏡の前でできる見分け方

明るい場所で、手鏡を使って前歯を見てみてください。
次のうち、当てはまるものを確認します。

  • 歯と歯の間や歯ぐきとの境目だけが茶色い → 表面の着色が中心
  • 前歯の裏側がザラザラして茶色い → 表面の着色(歯石の上の着色も含む)
  • 歯全体が均一に黄色く、境目も同じ色 → 加齢による黄ばみが中心
  • 1本だけほかの歯より暗い、グレーっぽい → 内部の変色の可能性
  • 横縞や帯のような色の濃淡がある → 内部の変色の可能性
  • 詰め物の部分だけ色が違う → 詰め物・被せ物の変色

あくまで目安で、診断は歯科医師の領域です。
それでも自分がどのタイプに近いかを知っておくと、歯科医院で相談するときに話が早く進みます。

タイプ別の対策早見表

タイプ自宅でできること歯科医院でできること
表面の着色清掃剤入りの歯磨き粉、当て方の見直し、飲んだ後の水クリーニング(歯面研磨)、歯石除去
加齢による黄ばみ力を入れすぎない歯磨き、着色を上乗せしない習慣ホームホワイトニング、オフィスホワイトニング
内部の変色自宅で白くする方法はない神経のない歯の漂白、白い材料への置き換え、セラミックなど

ホワイトニングは保険がきかない自由診療で、費用は医院によって違います。
妊娠中や授乳中は避けたほうがよいとされているので、該当する方は時期をずらして検討してください。

まず1か所だけ変えてみてください

全部を一度に変えようとすると、まず続きません。
私が患者さんにお伝えしているのは、次のうちどれか1つから始めることです。

  • コーヒーやお茶を飲んだ後に、水をひと口含んでゆすぐ
  • 下の前歯の裏側に、歯ブラシを縦に当てて磨く
  • 歯ブラシを「ふつう」か「やわらかめ」に替え、力を抜いて磨く

私自身、コーヒーを1日2杯飲みますが、飲んだ後の水だけは続けています。
これだけでも、次のクリーニングまでの着色のつき方がかなり違います。

まとめ

歯の黄ばみは、表面の着色、加齢による黄ばみ、歯の内部の変色の3種類に分かれます。
表面の着色は落とすケア、加齢による黄ばみは漂白、内部の変色は歯科医院での原因別の処置と、向いている対策が違います。

いちばんもったいないのは、加齢や内部の変色を汚れだと思い込み、強く磨き続けて歯をすり減らしてしまうことです。
まずは鏡で自分の黄ばみのタイプを確かめ、着色タイプならクリーニング、それ以外なら歯科医院で相談するところから始めてみてください。

白さを保つには、毎日のセルフケアと3か月に1回の定期検診をセットにするのがいちばんの近道です。
あなたの歯の色の悩みが、原因を知ることで少しでも軽くなればうれしいです。