歯ブラシの選び方|ヘッドの大きさ・硬さ・毛先の形で何が変わる?

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いま使っている歯ブラシの硬さ、すぐに答えられますか?
ドラッグストアで、いつもと同じものや安くなっているものを、なんとなく手に取っている方は多いと思います。
歯科衛生士の佐伯なおです。
歯ブラシは、ヘッドの大きさ・毛の硬さ・毛先の形の3つで、届く場所も歯ぐきへの当たり方も変わります。
この記事では、それぞれの違いと、現場で患者さんにすすめている悩み別の選び方をまとめました。

歯ブラシ選びは「ヘッド・硬さ・毛先」の3か所を見る

パッケージの表示で分かること

歯ブラシは、家庭用品品質表示法で表示の内容が決められている商品のひとつです。
消費者庁の「雑貨工業品品質表示規程(歯ブラシ)」では、柄と毛の材質、毛の硬さ、耐熱温度などを表示することになっています。
毛の硬さは、JIS(日本産業規格)で決められた方法で測ったうえで、「かため」「ふつう」「やわらかめ」といった区分で書かれています。

つまり、パッケージの裏を見れば硬さは必ず分かります。
次に買うときは、ブランドや値段より先に、まずこの表示を確かめてみてください。

道具より先に「どこを磨きたいか」を決める

歯ブラシに、誰にとっても一番という1本はありません。
歯並び、歯ぐきの状態、磨くときの力の強さで、合うものが変わるからです。

選ぶ前に、自分がいちばん気をつけたいのは歯と歯ぐきの境目なのか、奥歯なのか、歯の表面の着色なのかを決めておくと迷いにくくなります。
検診で「ここに磨き残しが多いですね」と言われた場所があれば、そこを基準に選ぶのがいちばんの近道です。

値段も、選ぶ基準としてはあまり当てになりません。
1本数百円の歯ブラシでも、ヘッドと硬さと毛先が自分に合っていれば、汚れは十分に落とせます。
高い歯ブラシを長く使うより、手ごろな歯ブラシを1か月ごとに替えるほうが、口の中にとってはずっとありがたい選び方です。

ヘッドの大きさで変わること

目安は「上の前歯2本分」

ヘッド(毛が植わっている部分)の大きさは、上の前歯2本分くらいの幅が目安としてよく使われます。
ヘッドが大きいと一度に広い面を磨けますが、奥歯の奥や歯の裏側、歯並びが重なっている場所では小回りがききません。
反対に小さすぎると、全体を磨くのに時間がかかります。

現場で見ていると、大人で磨き残しが多い方は、ヘッドが大きすぎることが少なくありません。
特に多いのが、いちばん奥の歯の後ろ側と、下の前歯の裏側です。
大きなヘッドだと、口を大きく開けても毛先がそこまで入っていかないのです。

小さめが向く人・大きめが向く人

ヘッド向いている人気をつけたいこと
小さめ・コンパクト口が小さい人、歯並びに重なりがある人、奥歯の奥まで届かせたい人全体を磨くのに時間がかかる
ふつう(前歯2本分)歯並びがおおむね整っている人奥歯の裏側は角度を変えて当てる
大きめ短い時間で広い面を磨きたい人奥歯の奥や裏側に届きにくい

迷ったら、小さめから試してみてください。
小さいヘッドで1本ずつ磨くほうが、結果的に磨き残しは減ります。
お店では、いま使っている歯ブラシとヘッドの長さを見比べて、それより一回り小さいものを選ぶと失敗しにくくなります。

毛の硬さで変わること

ふつう・やわらかめ・かための違い

ライオン歯科衛生研究所の「歯ブラシ」の解説をもとに、硬さごとの特徴を整理しました。

硬さ特徴向いている人
ふつう一般的な硬さで、効率よく歯垢を落とせる歯ぐきが健康な人
やわらかめ歯ぐきへの当たりがやさしいが、歯垢を落とす力はふつうより低い歯ぐきが敏感な人、出血がある人
かため歯垢を落とす力は高いが、強い力や大きな動きで磨くと歯ぐきを傷つけやすい力を入れずに磨ける人

基本は「ふつう」です。
やわらかめを選ぶ場合は、落とす力が弱いぶん、1か所ずつていねいに時間をかけて磨く必要があります。

やわらかめは、ずっと使い続けるものと決めなくてかまいません。
歯ぐきが腫れて出血している時期はやわらかめで汚れを落とし、腫れが引いて出血が止まってきたら、ふつうに戻すという使い分けもできます。
どのタイミングで戻すかは、検診のときに歯ぐきを見てもらって決めると安心です。

「かため派」の患者さんに多いこと

「かためじゃないと磨いた気がしない」という方は、たいてい磨く力も強めです。
こうした方の口の中を見ると、歯ぐきが下がって歯の根元が見えていたり、歯の付け根がくさび形に削れていたりすることがあります。
買ってから2週間ほどで毛先が開いてしまう方も、力が強すぎるサインです。

かためが悪いわけではありません。
ただ、かためを使うなら、ペンを持つように軽く握り、毛先が曲がらない程度の力で磨くことが前提になります。
歯ぐきからの出血が気になる方は、「歯ぐきから血が出るのは磨きすぎ?磨き足りない?原因の見分け方」も参考にしてください。

毛先の形で変わること

ラウンド毛とテーパード毛(極細毛)

毛先の形は、大きく2種類に分かれます。
ひとつは、毛先の1本1本を丸く加工した「ラウンド毛(ラウンドカット毛)」です。
歯ぐきを傷つけにくく、歯の表面に当たる面積が広いので、平らな面の歯垢を落とすのが得意です。

もうひとつが、毛先に向かって細くなる「テーパード毛」や「超極細毛」と呼ばれるタイプです。
毛先が歯と歯の間や、歯と歯ぐきのすき間に入り込みやすく、歯周病予防をうたう商品に多く使われています。
歯の表面を広くこするのはラウンド毛、細かいすき間に毛先を入れるのはテーパード毛、と役割で考えると選びやすくなります。

毛先の形に合わせて当て方も変える

毛先の形を選んだら、当て方もそれに合わせてください。
ラウンド毛は、毛先を歯の面にまっすぐ当てて、1〜2本分ずつ小刻みに動かすと平らな面の汚れがよく落ちます。
テーパード毛は、歯と歯ぐきの境目に毛先を斜めに向けて差し込むように当て、その場で細かく揺らすようにすると、細い毛先が溝の中まで入っていきます。

テーパード毛を買ったのに、毛先を歯の面にまっすぐ当ててゴシゴシ動かしている方をよく見かけます。
それでは、せっかくの細い毛先が境目に入らず、持ち味を生かせません。
ここでも、回数より当て方です。

毛の植え方とハンドルも見ておく

毛の高さがそろった「フラット型」は歯の表面を磨きやすく、毛の高さに段差をつけた「山切り型」は歯と歯の間に毛先が入りやすい作りです。
矯正装置をつけている方向けには、ワイヤーの下や装置のまわりを磨きやすいように、毛を山型やU字型に切りそろえた歯ブラシもあります。

ハンドルは、まっすぐなストレートタイプのほうが、毛先がどこに当たっているかを手で感じやすいと私は考えています。
握りやすさを重視した太いハンドルは、しっかり握れるぶん、力が入りすぎる方には向かないこともあります。

悩み別・歯ブラシの選び方早見表

早見表

私が患者さんに歯ブラシを提案するときの目安を、表にまとめました。

気になることヘッド硬さ毛先
特に悩みはない、基本の1本がほしい前歯2本分ふつうラウンド毛
歯ぐきから血が出る、腫れている小さめ〜ふつうやわらかめテーパード毛
歯ぐきが下がってきた、しみる小さめ〜ふつうやわらかめラウンド毛
歯並びに重なりがある小さめふつうどちらでもよい
磨く力が強いと言われるふつうふつう〜やわらかめラウンド毛
着色が気になるふつうふつうラウンド毛

迷いやすいのが、歯ぐきが下がってきた方です。
歯ぐきが下がって見えてきた歯の根元は、表面を覆うエナメル質がなく、歯の頭の部分よりやわらかいため、強くこすると削れやすくなります。
そのため、歯周病予防の歯ブラシを選ぶより先に、やわらかめで根元にやさしく当てることを優先しています。

着色が気になる方も、かための歯ブラシで力を入れてこするのは逆効果です。
着色は歯の表面につくので、ふつうの硬さのラウンド毛で表面に毛先を広く当てるほうが、歯を傷つけずに落とせます。

表はあくまで出発点です。
使ってみて、歯ぐきが痛い、毛先がすぐ開く、磨き残しが減らないといった変化があれば、硬さや形を1つずつ変えて調整してください。

1本で全部をまかなおうとしない

どれだけ合った歯ブラシでも、歯と歯の間の汚れは歯ブラシだけでは落としきれません。
歯と歯の間にはフロスや歯間ブラシ、奥歯の奥や歯並びの重なりには、毛束がひとつだけの小さなタフトブラシを組み合わせると、歯ブラシは「歯の表面と境目」に集中できます。
1本の歯ブラシに完璧を求めるより、道具で役割分担をしたほうが、楽に結果が出ます。

交換は1か月が目安

ライオン歯科衛生研究所は、歯ブラシを1か月に1本を目安に交換するよう勧めています。
毛先が開くと歯にきちんと当たらなくなり、開いていなくても長く使うと毛の弾力が落ちて、汚れが落ちにくくなるためです。
替えどきを忘れがちな方は、「毎月1日に替える」と決めてしまうか、使い始めた日付を柄に油性ペンで書いておくと続けやすくなります。
1か月もたたずに毛先が開くなら、歯ブラシ選びより先に、握り方と力加減を見直してみてください。

まとめ

歯ブラシは、ヘッドの大きさ・毛の硬さ・毛先の形の3つで、届く場所と歯ぐきへの当たり方が変わります。
ヘッドは上の前歯2本分を目安に、迷ったら小さめを選んでください。
硬さは「ふつう」が基本で、歯ぐきから血が出る方や敏感な方は「やわらかめ」を選び、そのぶんていねいに磨きます。
毛先は、歯の表面ならラウンド毛、歯ぐきの境目や歯と歯の間を意識するならテーパード毛が向いています。

ただ、どれだけ良い歯ブラシでも、当て方がずれていれば汚れは落ちません。
まず1か所だけ変えてみてください。
次に歯ブラシを買うとき、パッケージの硬さの表示を確かめる。
そこから「なんとなく選ぶ」を卒業して、3か月に1回の定期検診で、その歯ブラシが自分に合っているかを歯科衛生士に見てもらいましょう。